クリニック開業・経営における良い人材を確保するためのコツ

クリニックを開業するにあたって、すべて一人でやると効率も悪くなりますし、なかなか経営もうまくいかないでしょう。
良いクリニックにするには、良いスタッフを採用することが大事です。今回はクリニック経営における求人のコツについてご紹介します。

まずはどんな人材が必要になってくるのか

クリニック開業において、必要になってくるのは、受付や事務、看護師、助手が必要になってきます。

また、看護師についても、正規の看護師よりも、准看護師の方が相場が安い場合が多いですし、医師の指導のもと
看護行為を行うだけであれば、准看護師の方が良いです。

ただ訪問看護や終末期医療などの特定の医療行為もすることを今後考えているようであれば、指示を出さなくても
看護行為をしてくれる正規の看護師の方が望ましいです。

クリニックにおける、募集から採用までの流れ

開業に際して、スタッフ採用における、一般的なスケジュールは以下です。

  • 90日前:採用の基準やコンセプトを決定。求人媒体の選定や求人原稿の作成
  • 60日前:求人の掲載
  • 50日前:書類選考・候補者の選定・面接の連絡
  • 40日~30日前:面接・採用通知
  • 20日~前日:スタッフ研修
  • このように開業の1か月前までには、人材を確保する必要があります。

    良い人材を採用するためのコツとは?

    良い人材を確保するためのコツをご紹介します

    明確なビジョンを持つ

    クリニックのスタッフを採用するにあたって検討すべき項目は、職種、求める資質、年齢、性別、人数、給与、常勤かパートかなどが挙げられるでしょう。

    最も大切なことは、クリニックの姿を明確にイメージし、それを具体的な言葉や数字、採用ビジョンに落とし込むことです。

    こうすることによって、具体的なターゲットが決まってきます。もしわからない場合は、今までの経験から出来る人の人物像を思い浮かべて、決めていくのもよいです

    人材が欲しいのかも決まっていない中途半端な考えで採用を行うと、順調な開業をストップする要因にもなります。もし不安なら実績のあるコンサルタントにアドバイスを求めると良いです。

     

    人材によって応募媒体を使い分ける

     先ほども紹介したように、クリニックでは一般事務系職種(受付事務など)と専門職(看護師など)に分けられます。
     最近では、「ハローワーク」のほかに「求人BOX」や「engage」など無料の求人媒体も増えてきました。費用がかからないので、開業する際には助かります。ただ質の高い人材が欲しい場合は、「グッピー」などの有料の求人サイトを使った方が良いです
     

    なお、近隣の人をターゲットにするならば、求人のサイトでエリアリスティングをかけたり、チラシなどを配る方法もあります。求人チラシを作成し特定のエリアに配る業者もいますので、利用してみてもよいでしょう。

     

    書類選考時のポイント

     書類選考では、履歴書や職務経歴書の内容から人物像を想像し適性を判断します。
    例えば、誤字脱字がある、文字が雑に書かれている、写真が貼られていない、職務経歴書がかかれていない、などの場合は、仕事が雑かもしれない、何か隠し事をしているという推定が可能です。

     また転職を繰り返している人は、本人の働き方や考え方に問題がある可能性も否定できません。

     

    面接時の質問項目は予め用意しておく

     

     面接時間は限られていますし、どんな人か見るために、あらかじめ質問項目を用意しておきましょう。自己PRや職務経歴、前職の退職理由など、一般的なものや他の人から何といわれるのかなどその人の性格を知れる質問を用意しておきましょう。

     

    面接時のポイント

     面接時のポイントは、いくつかあります。

    応募者の態度をみる

     まずは、応募者の回答よりもその時の態度や印象見ることです。例えば、「自己紹介時に相手が理解しやすいような言い方を心がけているか」、「仕事に対する意欲や前向きさを感じられるか」、「話をしているときにどのような態度をとっているのか」等です。

     また、服装などの身だしなみがしっかりしているかチェックしましょう。これらの項目がしっかりしていないと、仕事に対して誠実にしない可能性がありますので、採用は見送った方が賢明でしょう。

    職歴を聞いて仕事の姿勢を確認する

     次に、職歴について聞いてみましょう。前職を辞めた理由や応募職種についての具体的なイメージを聞いてみましょう。
     特に、辞めた理由ついては、出来れば面接者も聞かれたくない項目でもあります。辞めた具体的な理由があればよいのですが、具体的な理由がない、前の職場を批判する、話の話題をそらすといった傾向がある場合は採用を見送った方が良いです

    ビジョンの話し、採用後のミスマッチを防ぐ

     最後に、クリニックのビジョンや診療方針、望ましい人材像、求めるスキル、院内のルールなどを説明します。
     これは、採用後のミスマッチを防ぐためです。

     

    採用者には早め採用通知と働く意思を確認する

     面接をして、この人に来てほしい・この人と働きたいと思った場合、早めの採用通知と働く意思を確認しましょう。
     早めの採用通知を出すのは、迷っているうちに他のクリニックなどに決まることを防ぐためです。

    応募者は当然、自分のクリニック以外でも面接や応募をしているので他のクリニックとの競争になります。そのため、1日でも早く採用通知を出すと良いです。

    また、候補者には必ず書面やメールなどで働く意思があるのか確認してください。口頭で採用通知を出しても、直前になって辞退してくる人もいます。そのため、必ず書面やメールなど証拠が残る形で確認をとると良いです。

    経験者や縁故採用について

    最後に経験者や縁故採用の注意点についてご紹介します

    仕事ができない経験者に要注意!

    採用者側としては、経験者の方が業務を円滑に進めてくれると考えるかと思います。ただ、経験者の中には
    「仕事が出来ない経験者」がいます。この「仕事ができない経験者」、組織にとってマイナスになります。
    というのも、「仕事ができない経験者」は自分で考えられず、教えられたことをこなしてそれで満足して、
    「自分は仕事ができる」と思ってしまいがちです。

    そのため、経歴を見て経験者だからと安易に採用しないように注意してください。大事なのは経験よりも、
    自分が掲げたビジョンに共感して働いてくれる人です

    元同僚や縁故採用について

    例えば元同僚だったり、自分がお世話になった先生の親族を採用場合もあるかもしれません。
    ただ、同僚の立場と、経営者と従業員の立場だと関係が異なり、見る視点も異なってきます。
    そのため、同僚を採用する場合は、その人に対してちゃんと意見を言えるかを考えてください。

    また、知人からの紹介などの縁故採用については、一般採用枠以上に慎重な検討が必要です。
    その人の人柄がわかっていて、かつ優秀な人物であることがわかっているならば問題ないですが、そうでない場合もあります。

    紹介してもらった知人の手前厳しい処遇を下しづらいこともありますので、いくら縁故採用だからといっても人柄重視の観点は忘れないようにしておきましょう。