予約システムとは
日本で医療のIT化が始まったのは2000年に入ってからで、今日まで目まぐるしく発達してきました。これまで難解な計算に時間をかけていたレセプトも専用機器のお陰で今や瞬時に計算が可能です。そんな医療のIT化に伴い徐々に知名度を上げているのが予約システムとなります。このシステムはWEBサイトから患者が予約出来るシステムです。単に予約を行うだけでは無く様々な機能が搭載されているので、その特徴をいくつかピックアップしていきます。
予約システムとは
そもそも予約システムについてよく分かっていない、そんな医療機関もあるでしょう。従来だとクリニック予約の際は電話受付のみ、あるいは予約不可で患者に大きな負担がかかっていました。WEB予約システムはネットから患者自身がアクセスして予約を行うので、ライフスタイルに合わせて通院出来るのがメリットです。単に予約だけでは無く日付・時間帯ごとの混雑状況がわかるので長い時間待たされるデメリットを解消します。システムによってはPCだけでは無くスマホからの予約も可能なので、具合が悪く電話が出来ないケースにもぴったりです。待ち時間が短縮されるのは単純にモチベーションの問題だけでは無く、院内感染防止にも繋がるので多くのメリットがあります。
予約システムは患者だけでは無く受付業務の短縮にも役立っています。中には受付にかかる時間が従来の半分以下になったクリニックもあるので、導入を急ぐクリニックも多くなっています。おおまかな基本機能としては受付予約・予約確認メール・電子カルテとの連携があります。受付予約は言葉のままですが、予約確認メールはその受付手続きが完了した事を通知する機能です。通院漏れを防ぐ事でスムーズに診察の流れを作り、多くの患者を診察出来るのもこの機能のメリットとなります。
システムによってはインフルエンザの予防接種受付開始など、メルマガ機能を備えているタイプもあり患者の意識も高めてくれるでしょう。電子カルテは紙ベースのカルテがデータ上になったサービスで、システムと連携する事で受付後に受付スタッフへカルテデータを送ることが可能です。サーバでカルテを管理しているので、選択ミスを防ぐだけでは無く膨大な数のカルテを即座に見つけることができるので効率化アップに役立ちます。
予約システムを導入する5つのメリット
24時間予約を受け付けてくれる
近年の医療機関は診療時間が長くなっていて、遅くまで診療しているところもあり日中に通院出来ない方から支持を得ています。しかし24時間対応している医療機関はほとんど無く、ライフスタイルによっては予約が出来ないケースもあるでしょう。予約システムを導入すれば24時間予約が出来るので、患者の好きなタイミングで予約出来ます。また混雑状況を表示して、患者の予約を散らす事でクリニック側も事前に対処出来るのも大きな強みです。
人的ミスが少なくなる
システムで予約を取り、カルテと連携を取るのでどんなに予約数が多くてもミスが出にくくなるのもメリットです。システムではなく人の手を使って予約確認をすると、件数が多くなるに連れてミスが増えてしまいます。それを防止する為に二重チェックをすると、人員を更に使う事になるので人件費が加算されクリニック経営に負担がかかる事もゼロではありません。単純に人員だけの問題では無く、コストに貢献するのも予約システムのメリットです。
予約受付の管理業務の効率化とコスト削減
業務効率化。これはどの業界でもすべからく行われていて、医療業界ももちろん早急に対応が必要です。システムは決まった時間・条件を元に処理をしてくれます。受付やメール配信などしっかりとスケジューリングしてあげれば、しっかりと仕事をしてくれます。システムがこれらの仕事をしている間に別の業務を遂行することが出来れば、人件費削減にも繋がりクリニック経営の助けにもなります。これらの理由から業務改善はもちろんの事、コスト削減を検討しているクリニックに支持されています。
データ分析が簡単に行える
来院している患者の病状・通院回数・予約の多い時間帯など、予約システムはこれらのデータをサーバにアップしているので、簡単に分析が出来ます。一見、何の意味が無いと思えるかもしれないデータですが、ターゲッティングや営業時間を変更する時に参考になるデータです。「医療と経営は別」といった声もありますが、実際のところ経営戦略を行わなければ集客は不可能ですし、患者のニーズに応える事は出来ません。データ分析が簡単に出来るのも予約システムを使う魅力の1つです。
メール
予約完了メール以外にも、こちらが設定したタイミングでメール配信をしてくれるのも予約システムの魅力です。インフルエンザの予防接種や美容系の診療科目を受付している場合は新しい治療方法など、患者の目を引く情報を届けられるので集客に繋がります。メールを配信する患者に関しても条件を入力するだけで良いので時間・手間もかかりません。
予約システムの選び方・確認ポイント
導入が簡単
予約システムといっても、様々なメーカーが提供しているのでクリニックにあったタイプを見つけなければなりません。選び方のポイントは様々ですが、出来るだけ導入が簡単なタイプがおすすめです。大手医院であればある程度時間がかかるのは仕方ありませんが、中小規模であれば簡単に導入することが出来ます。打ち合わせやデモ体験時に導入までの期間を確認しておきましょう。WEB導入の際はサイト構築までしてくれるのかの確認をしておいたほうが良いです。
患者にとってもつかいやすいもの
業務効率やデータ分析でシステム利用するのも良いですが、前提として患者が使いやすいものを選ぶのがセオリーです。患者のニーズに応える為にはまず患者の層を知る必要があります。年齢だけでは無く通院頻度をリサーチすると良いでしょう。若年層がメインであればPCやクリニック設置のシステムではなく、スマホ対応するとレスポンスが良くリピートにも繋がります。反対に高齢者メインだと予約システムに慣れない方もいるので、よりシンプルなシステムを導入しましょう。
導入費用や月額コスト
いくら使いやすいシステムでも導入費用やランニングコストを捻出出来ないと継続出来なくなってしまいます。クラウドタイプ・ローカルタイプで導入コストが大きく変わります。クラウドタイプは専用のサーバを契約するだけで良いので比較的安価です。ローカルの場合は仮想サーバ構築が必要なのでコストが上がりやすいのが難点ですが、ネット接続不可になってもアクセス可能な強みがあります。続いて月額コストですが月2~3万円が平均的です。但し台数やオプションの有無によっても違うので注意して下さい。
リコール対応やサポート体制
普段は問題無く利用出来ていたにも関わらず、急にトラブルが生じてしまった場合、すぐにサポートしてくれるかも選び方のポイントです。サポートといっても電話・メール以外にチャットサービス、訪問など種類が多々あります。近年ではリモートサポートを受付している企業もあるので、事前相談してみると良いでしょう。経営に直結するリコール対応に関しても細かな対応をしてくれる予約システムであれば、万が一の際も安心です。
バージョンアップの手間
クラウド型はサーバにアクセスして予約システムを利用するので、基本的にアップデートはありません。しかしサーバメンテナンスが生じる可能性があり、その時間帯は別のサーバにアクセスするかアクセスを控えなければならないケースもあります。ローカル型は定期アップデートを行う必要はありますが、メンテナンスをしていれば大きな不具合にはなりにくいです。どちらも一長一短なので、導入の際はどちらにするか考えておくと選び方で失敗する事はありません。
安心できるメーカーかどうか
様々なメーカーが予約システムを提供しているので、システムの機能や価格だけでは無く安心出来るメーカーなのかを基準にするのも良い選び方です。これまで医療設備に関わってきた実績があるのか、あるいは連携可能な製品は輩出しているのかをサイト上で確認してみましょう。その企業にメールや電話で問い合わせを行い、対応を確認するのも良いです。サービスだけでは無く企業を理解した上で導入すると無用なトラブルを避けられます。
まとめ
人件費削減・業務効率化に貢献し、見込み患者を離さない効果のある予約システムは、多くの企業が提供しているサービスなので導入の際に迷ってしまいます。失敗しない為にはメリットを知った上でサービスを吟味し、必要に応じて企業側へアクションを取る事です。
費用や機能だけでは無く安全性やアップデートの有無、これらは全て必要なポイントですが優先順位をつけながら選んでいくと失敗のリスクが低くなります。