クリニック開業に必要な備品とは?

「いつかクリニック開業したい。」そう思った時に何から始めるべきでしょうか。まず「いつまでに開業するのか?」「必要な資金はどれくらいか?」「必要な備品は何か?」なども考えなければいけないので、ゆっくりとしているヒマはありません。診療科目やクリニックの規模によって必要なものが違うので、リストアップしていくと後で必要かどうかを吟味出来ます。これから経営をしたいと思っている方はもちろんですが、既に経営しているが中々利益に結び付かないと考えるオーナーにも必見の情報です。
クリニック開業までにすべきこととは?
開業を成功させるには入念な準備が必要です。クリニック経営をしようと思っているほとんどの方は医療従事者だと思うので、まずは現在のクリニックや医院を退職しなければなりません。人事にも関わる事なので、出来れば早めの24ヶ月前には申して出ておくと、医局にいる方とも衝突がおきにくくなります。
退職の旨を伝え、開業のステップを1つ登ったら続いては土地探しから始めましょう。
近年はネット検索が主流ですが、希望の土地が見つからない場合は不動産会社へ相談しましょう。また、ネットには掲載されていない非公開物件もあるので、直接地主と交渉する方法もあります。ある程度エリアが固まったら、そのエリアで見込める患者数や競合の可能性がある医療機関をピックアップします。この時のデータは、事業計画や融資の際に提出する書類にもなるのでとても大切です。その後クリニックのコンセプトを決定し、資金調達をする為の融資先へ相談します。これらは全て24ヶ月以内にやっていると後がスムーズです。
18ヶ月前になると経営理念・診療方針を固め建築会社の選定を行います。最終的な資金調達をするのもこの時期なのでリストを作り、漏れなく進めて下さい。資金調達や融資に関してはコンサルタントへ相談しながら決定するのも良い方法と言えるでしょう。
12ヶ月前には融資の申込み、建築工事の開始を行い開業がカタチになってくると感じられます。6ヶ月前辺りで内装・設備を準備し始めます。レントゲンやCTを含む大型医療機器を導入するのもこの時期が良いです。医師会への入会・挨拶も早めに済ませておきましょう。
3ヶ月前になるともう開業は目前です。備品・消耗所の手配や内装工事が始まり、人員採用を行うと開業当初から人手が足りなくなる事はありません。忘れてしまいがちなサイト構築の手配もやっておくと良いです。2ヶ月前に必要なのが開業申請を含む各種手続きです。手続きには期日が設けられているものもあるので注意して下さい。近隣への挨拶や内覧会準備を行うにもベストな時期です。
1ヶ月前~1週間前には機械搬入を行い、職員研修を済ませておきます。電子カルテを導入する場合はもう少し早めに研修をしておくと良いです。あとは内覧会・オペレーション最終チェックを行えば準備完了となります。
開業してすぐに患者が付く訳では無いので、しばらくは運転資金を使いながら経営を進めていくのが一般的です。
クリニック開業にはいくら必要
クリニック開業にはおよそどのくらいの費用が発生するのでしょうか?まず開業の初期投資は土地や建物・医療機器・広告を含む宣伝費・医師会入会費・運転資金の5つがカギを握っています。競合の多い内科は土地・建物で2500万円、設備で2~3000万円、5000万円が最低ラインです。内科は他院との差をつけなければ生き残れないので、専門医資格やドクターの強みを前面に押し出して下さい。
リハビリの必要があり、ある程度のスタッフ確保が必要な整形外科は土地代3000万円、設備が2000円必要です。整形外科の場合、大きな医療機器だけでは無くリハビリルームが必要なので60~100坪程度の広さが必要になります。
老若男女幅広い層が通院する皮膚科は土地代で1200万円、設備が500万円と他の診療科目に比べるとリーズナブルなのが特徴です。しかしその分競合が多く単価の高い美容皮膚科を受付しているところもあります。美容皮膚科関連の機器は高額で1台につき1000万円以上するので、当初から導入するのでは無く患者のニーズに合わせて導入していくとリスク防止に繋がるでしょう。
反対に高額になりやすいのが眼科です。専用医療機器を使う事が多く、特に白内障手術に使う機器だけで2~3000万円加算されます。土地代が3000万円、設備が最低でも2~4000万円かかるので開業を検討している方は資金調達対策をしっかり行って下さい
備品リストの作成の必要性
開業に必要ステップを理解したら、実際に備品リストを作成し資金調達をよりタイトなものにしていきましょう。人によってリストの必要は無い方もいますが、その場合漠然としたイメージのままになるので実際の資金とのギャップが生まれやすいです。そうなると運転資金が少なくなり、経営をしていく中で厳しくなる可能性もあります。
クリニック経営のカギは運転資金にあります。開業当初は患者が少ないので利益に結びつきにくいです。特に整形外科や精神科は知名度が上がらないと利益が出ないので、当初は運転資金を削りながら運営していく必要があります。
医療機関では他の企業と同様、棚卸し作業が必要です。その際に備品リストがあると管理がしやすく業務効率アップにも繋がります。その際に紛失したものがあれば買い足し、無駄な備品を購入しなくてすむのもリストのメリットです。
とはいってもただやみくもにリスト作成をすれば良い訳ではありません。一気に管理するのではなくカテゴリを決め、時には分担作業で作成していくと良いでしょう。商品名や数量、返却日を記入する管理台帳を作っておくと更にリスクが減ります。
クリニック開業時に必要な備品のリスト
実際にクリニックで必要な備品をいくつかピックアップしていきます。部門名を設定するプレートは、患者が確認するものなので最重要備品です。初診・再診・往診といったプレート以外にもリハビリ室や診察室といったどんな施設なのかを表すプレートがなければ迷ってしまいます。
続いては診察時に使う脱衣カゴ、ワゴンです。診察室に必要なデスクやチェアはほとんど忘れませんが、これらを忘れて後で必要になるケースが多いので注意して下さい。同様に忘れやすい備品として上がるのがゴミ箱です。クリニックは衛生面にも気遣わなければならないので、ゴミ箱が無いと大きなマイナスになります。
勉強会で使うホワイトボードや診察用ライト、高齢者の為に老眼鏡セットもあると良いでしょう。耐熱金庫・保管庫も重要チェックリストへ入れておくと万が一の際も安心です。スタッフルームには更衣ロッカーやテーブル、ナースウェアがあるとスタッフが働きやすいと感じてくれます。
まとめ
開業までに様々な手続きを行わなければならず、うっかり忘れてしまう事も珍しくありません。その都度修正をしていけば良いですが、ケースによっては修正が効かず面倒事になってしまうリスクもあるので注意して下さい。
特に資金調達は期間を決めて「いつまでにいくら必要」と明確にしておきましょう。資金調達が完了したら物件契約や備品購入を行います。事前に必要リストを作っておくと漏れが無く、安心してクリニックが開業が出来ます。