医療・病院現場でタブレット端末を導入するメリット

IT革命が起こってからしばらく経過しましたが、技術は常に多くのサービスを生んでいます。スマホの普及によりデジタル端末の敷居が低くなった事から、医療機関や病院でもITに触れる機会が多くなりました。問診で使うタブレット、医師が患者に説明する為にPCやデバイスを使うのはもう珍しくありません。これらの端末を使う事で、現場はどの様に変化していったのでしょうか。また医療現場に特化した端末、その特徴にも着目しています。
そもそもタブレット端末が発展した背景は?
ほんの20年前まではインターネットにアクセスする端末はPC一択でした。携帯電話でもアクセスは可能でしたが、OSが特殊である為レイアウトが崩れたり機能を十分に使えなかったりしてPCの代わりにはほど遠いのが現状でした。
そこからスマホが普及し私達の生活は大きく変わりました。インターネットに接続しているのが当然になり、スマホは単なる電話機では無く手のひらサイズのデジタルデバイスになりました。そこから更に時は流れ、スマホとPCの間を取ったタブレット端末がリリースされました。タブレットはスマホと同じ操作性を持ちながらスペックは、スマホ以上。製品によってはPCと同じ様に高い機動力を持ったタイプもありました。
2019年時点でタブレットの普及率は40%とやや高く、PCを持たない方が増えた代わりになっていると考えられます。ちなみにタブレットを所持、利用しているユーザーの年齢層は6~12歳とかなり低く、全体の30%を占めています。その背景には学習用タブレットの普及があります。学校だけでは無く通信教育でもタブレットを使っているところが多く、学習塾で配布しているケースもあります。
ペーパーレスで更新が容易な点が強みとなっています。30~40代のシェアも伸びていますが、この年代はデジタルデバイスに強くガジェット好きな方も多いです。PCよりも気軽に使えるタブレットは勉強だけでは無く、リラックスタイムのお供として使われる事がほとんどです。
医療や病院ではどのようにしてタブレットを使っている?
タブレット利用が珍しくなくなった今、病院などの医療機関で使われているケースもあります。使用方法は様々ですが、電子カルテやWEB問診をダウンロードして患者に記入してもらったり、医師やスタッフが患者の状況をメモしたりするのに使っている様です。
患者一人に一つタブレットが使われていて、バイタル情報や食事の状況を掲載しているところもあります。会計時にタブレットを使えば支払のスピードが速くなり、患者の待ち時間軽減にも役立つ事が分かっています。
この様に医療現場で利用されています。また入院患者にとってタブレットは娯楽にも繋がります。テレビやラジオ、アプリを使って入院時の退屈を凌ぐのに向いています。医療系のシステムを使えば外来呼び出しも可能ですので、介護の現場でも役立つツールです。
マタニティ関連のアプリをインストールすれば赤ちゃんとママの生活に役立つ情報を共有する事も出来ます。紙ベースでも出来ない事はありませんが、配布の手間と多額のコストが発生するデメリットがあります。
タブレット端末を使ったらどんな効果がある?
実際に医療機関でタブレットを使う様になってから、様々な効果が生じました。まず挙げられるのが患者のストレス軽減です。通院のモチベーションを下げるといわれている待ち時間。長ければ長いほど患者にストレスを与えます。インフルエンザなど感染力の強い病気が流行っている場合だと、別の症状で通院しているのに感染してしまう事もありました。
タブレットを導入し問診表をテンプレートする事で、事前入力が可能です。診察までの時間が短くなるのは患者のストレスだけでは無く、向き合う時間が長くなる事で満足度が上がります。満足度が上がると通院のモチベーションが上がったり、病気に対する意識が強くなったりして改善までのステップが短くなります。このループを繰り返す事で、更に待ち時間が短縮されます。
またタブレットで入力した情報はカルテとしても十分役立ちますが、医師が患者へ説明する際にタブレットを用いて説明する場合もあります。写真や動画を取り込めるので、テキストだけのカルテよりも理解度が深まるのがメリットです。前回との比較がしやすく、重要事項を強調するなどニューマンエラー回避効果もあります。
医療機関側はカルテの保管義務があり、5年間は処分出来ません。これによって紙ベースのカルテ、診断書だと患者数によっては物理的なスペースが必要です。場所の圧迫に繋がるだけでは無く、膨大な数の中から1枚だけ探すのは困難です。タブレットだとデータを扱っているので、検索をかけるだけで良いです。総合的に考えると患者・医療現場どちらも作業効率がアップする事が考えられます。
医療機関向けのタブレット端末はどんなものがある?
現在リリースされている病院・医療機関向けのタブレット端末を紹介していきます。現場に合わせてカスタマイズ出来る端末は、患者だけでは無く医師や施設で働くスタッフ、全ての方が使いやすいと感じる事をモットーにしています。
・HosPad(ホスパッド)
WEB問診や施設の予約はもちろんですが、売店での注文やテレビ電話通訳サービスまであります。インターネット接続しているので入院時にコンテンツ視聴や書籍・新聞の閲覧が可能です。もちろん検査や手術前の説明、クリニカルパスといった現場に特化したシステムも搭載しています。
・ベッドサイドタブレットシステム
この端末では患者自身をサポートする事が目的に作られています。診療スケジュールに検査結果がリアルタイムでわかる様になっているので、インフォームドコンセントを希望する方にも向いています。
他にも治療方針や病院からのお知らせも随時確認出来るので、常に最新情報を知る事が出来ます。この端末のポイントはこれだけではありません。食事量、飲水量を入力出来るのでスタッフの作業負荷が軽減されます。
医療機関で特に人気の高いタブレットはPCを含む他システムとの連携が容易なので、データ共有に長けています。電子カルテ機能があるので指示箋を紛失するリスクも防げます。サーバー上にデータとしてバックアップされるので、許可されている端末であれば誰でも閲覧出来るのも大きなメリットです。
これらの端末の多くは10インチで薄型軽量タイプがほとんどです。大容量のバッテリーを搭載し、インターフェースはマイクロUSBなので、デバイス間の共有も簡単です。小さめのタイプであれば7インチもありますが、使い勝手を考えると前者に分があります。
まとめ
医療機関では長い間PCをメインに使っていましたが、近年では医療用のタブレットが普及しています。患者のストレス軽減や医療に対するモチベーションアップを皮切りに、情報のシェアやセキュリティ面など多くの効果をもたらします。
バイタル情報を含む患者の情報を保存しておく事で、引継ぎミスなどのヒューマンエラーを防ぐにも役立っています。端末やシステムの種類も豊富で、病院の科目や体制によってカスタマイズ出来るタイプもあります。
大きさは10~7インチが一般的で軽量薄型・大容量バッテリーなので、直感的な操作が可能です。