精神科向けの電子カルテシステム13選を徹底比較

様々な診療科目がある中で、精神科は脳や心を診る場所です。不確定な要素を含む為、カルテも他の診療科目と大きく違う部分があります。これまでは病院によってカルテをカスタマイズしていましたが、電子カルテが普及してからはその必要がなくなりました。使い勝手が良いのはもちろんですが、それぞれの特徴を知る事でそれぞれの医療機関に合ったシステムを導入出来ます。ここでは医療機関から支持を得ている電子カルテをいくつかピックアップしているので参考にして下さい。

 

精神科で電子カルテの普及が低い理由

 

 

 

電子カルテは医療の現場で普及が進みつつある中、精神科の分野ではまだまだ普及が進まない現状があります。それには精神科特有の様々な理由がありますが、受診者の多くなかった時代であればそれでも十分に対応が可能でした。

昨今、下記のグラフでも示されているように精神科を受診する人が増えており、多忙な業務のサポートとして今後、ますます電子カルテが重要なアイテムになっていくと考えられます。

そこで精神科の現場に特化した電子カルテをご紹介いたします。

 

精神科特有の診察とは

精神科では抑うつ、不眠といった心の病気と向き合う医療であるため、患者とのコミュニケーションは大きなポイントとなります。

電子カルテに入力をしながら診察をしていると、「先生がちゃんと目を見て話を聞いてくれない。」といった不満や不安を患者が感じてしまうことがあり、良い関係を築けず、患者が離れてしまうこともあります。

 

書類が多くて煩雑になりがち

精神科は公的機関との関りが特に強いため、診療の他に大量の提出書類を作成しなければいけないこともあります。最終的に提出書類の作成業務や紙ベースでファイリングして保管することを考えるとコストをかけてまで電子カルテを導入することに、それほどのメリットを感じない医師も多くいます。

またカルテなどで医療法、精神保健福祉法といった法則等に沿った記録の必要があるため煩雑になりがちになります。

 

長期で向き合う患者が多い

精神科では入院した場合でも平均在院日数は465日と患者と向き合う期間は長期にわたることが多くなります。そのため病状の経過観察や処方なども長期的な記録になり、電子カルテでは時間的な推移がわかりにくくなる場合があります。

紙で書かれたカルテで確認したほうがスムーズに経過がわかると感じる現場の医師も少なくはありません。

 

電子カルテは精神科では本当に不向きなのか

それぞれの医療現場には特徴があり、ニーズが違います。上記のような精神科の特性を考えた時に電子カルテは必要ないのでは、と考えてしまうことも仕方のないことです。

しかし電子カルテには情報の共有が容易で、様々な書類作成のための機能が整っているシステムもあります。

また受診者が増加傾向にある精神科において患者一人ひとりとじっくりと向き合っていくには電子カルテで解決できる業務は移行し、時間を有効的に使えるようにすることも大切なことになってくるのではないでしょうか。

 

 

精神科病院向け電子カルテシステムAlpha


Alphaは数多くの電子カルテの中でも業界シェアNo.1の実績を誇っています。単に情報を表示・記録するだけでは無く治療歴を含むエピソードが時系列に表示されているので、患者へ状況説明をしやすいです。カルテ作成時も必要な情報をボタン1つで自動作成するので、業務の効率化が期待されています。

書類作成・管理がしやすく記録簿の連結機能もあるので、医師・スタッフとの連携がスムーズに行えます。製品導入からアフターフォローまで行っているので、電子カルテシステムを初めて導入する医療機関に向きです。

導入台数、システム、機器との連携によって料金が異なり、見積もりはメール・電話相談で受付していて、カタログ請求・デモは無料で行えるのが強みとなります。

 

Waroku


1ヶ月の無料体験版を公開しているWarokuは、記録の輪の意味がかかっています。無料期間を経て契約した場合、本稼動までの期間は無料で利用出来るのは大きなメリットです。

この電子カルテシステムは「書きやすく・読みやすい」に着目していて、あえて機能を絞り医師が本当に知りたい事をストレス無く確認出来るのが強みです。患者の基本情報だけでは無く治療・生活歴を一覧に出来るので、診察前の時間にサッと確認することができます。

入力に手間をかけたくない精神科医の声を聞き入れ、入力補助・ワンクリックオーダー・心理検査オーダー機能が標準搭載済みです。従来のカルテで発生していたヒューマンエラーを防ぐ為にオプションで処方チェック機能もあります。

サーバー設置不要なクラウド型なので、サーバーメンテナンスやアップデートの為に業者を呼びたくないケースにおすすめです。

 

MOMACE


MOMACEが他のシステムと比べて突出している点は、掲示板や施設予約スケジュールといった点まで電子カルテで補えます。精神科は他診療科目と異なり医師と患者さんだけで完治するのは難しく、家族や周りの方の助けが必要です。院内メールによってスタッフ・医師との情報共有がしやすくなっているのもMOMACEの特徴となります。

画面操作が直感的に出来て、且つシンプルな画面なので確認したい情報がすぐに見つかります。専用のサポートセンターを設けているので、万が一トラブルが生じても問題ありません。

これまでに様々な実績を積んでいる企業が輩出している電子カルテシステムなので、全国各地の医療機関で導入されています。部門ごとに連携システムが別れているので、カスタムしながら電子カルテを利用したいところにぴったりです。

 

精神科病院向け電子カルテシステム Live


電子カルテは医療機関にいる医師・スタッフ全員が使うもので、操作が難しいものはヒューマンエラーを起こすきかっけになります。どんな方にも使いやすいシステムを目指しているのがLiveです。

このシステムはカルテ画面が1ページで基本情報・食事・身体(精神)評価など確認すべき情報が手に取る様に分かります。もちろん予約オーダーもページを開いたまま出来るので、カルテ入力に手間を取りません。病院用医事コンピューターMedicom-HSiと連携が可能で、帳票出力・データ取り込みがスピーディです。

パッケージオプションも豊富で、インシデント管理・630対応の精神科統計など、精神科によって自由にカスタマイズ出来るのもLiveの特徴となります。

費用公開はしていませんので、電話連絡の上営業所での相談となります。

 

アピウス【プシュケ】


入力を簡単にしていく事で効率化を目指せますが、アピウス【プシュケ】はその逆の「丁寧さ」を目指しています。現場の声を聞き入れながら「本当に必要なシステム」を提供している企業です。

このシステムは一般向け電子カルテをベースにして、最適化したシステムなので精神科だけでは無く様々な診療科目で利用出来るのが特徴となります。総合病院で導入すれば、全て同じカルテを取り扱えるので情報共有がしやすいです。

またHomeBank・CaseBankとの連携が出来るので、訪問看護やカウンセリングで得た情報を反映させる事が出来ます。

 

MEDIC EHR/P


MEDIC EHR/Pは入力や操作によるストレスを軽減し、精神科業務の効率化アップを目指している電子カルテシステムです。患者の些細な変化を見逃さないように患者情報・診療内容が項目ごとに整理されているので、PC操作が苦手なスタッフでも問題ありません。

MEDIC EHR/Pの強みは操作面だけでは無く拡張性にもあります。PCだけでは無く様々なデバイスに対応しているので、複数の端末から同時アクセスも可能です。SSLで保護した状態で別部門との連携が出来る点も、MEDIC EHR/Pの魅力となります。

サポート面も充実していて医療向け高可用性無停止サーバソリューション、分散型バックアップシステムでは災害や障害が起きてもしっかりとカルテを保護出来ます。カタログはwebからダウンロード出来るので、他のシステムと比較したいクリニックに向いています。

 

医次元カルテ


これまでの電子カルテは大病院向けにリリースされているシステムが多く、連携機能や拡張性に富んではいるものの、多額の導入費が発生していました。その為中小医療機関は中々電子カルテを導入出来ず、業務効率化の問題が浮き彫りになり頭を抱える事業者が多くいました。

医次元カルテは一般病院用だけでは無く、精神化病院用の電子カルテを輩出している企業で「病院目線で必要なサービスを厳選し、適正な価格で提供する。」事をコンセプトにして、無駄なデザイン、UIを省き実務に必要な項目だけを取り入れています。標準機能には精神科統計・預り金管理・マスタ保守が搭載されていて、必要に応じてオプションから追加可能です。

訪問看護をしている精神科にはスマホを使った情報入力アプリも提供しています。中小病院でリーズナブルに電子カルテ導入を考えているならおすすめです。連携に関しては基幹・供給・機器の3つにカテゴリを分けていて、どんな部門にも連携が取りやすいです。

 Nozomi

 

 

Nozomiは精神保健福祉法に基づき設計されたアルゴニズムと入力支援機能を備えた精神科特有の要件を満たすために開発されたシステムです。現場の医師ともあらゆる角度からのノウハウの交換を図り、時代のニーズにあった高度なシステムの開発・改良を進めています。なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • 日常入力業務の期限管理を行い、該当画面へ自動的に移動しよりスムーズな業務の実現を図ります。
  • 観察記録照会などの機能で患者の状態や記載漏れが一目で把握できます。
  • 算定漏れ機能で計算漏れをしやすい指導料などに注意を促す設定ができます。
  • 来院前の相談者情報を管理し、来院後は相談者情報をカルテに取込むことができます。

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ALICE NEO

 

 

 

ALICE NEOは精神科専用ASP型電子カルテの先駆者として開発された「ALICE」の後継システムです。精神科のカルテ記載の煩雑な業務をどうにかしてほしいという現場の医師の言葉から生まれました。

なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • インテーク記録、精神科デイケアなど精神科特有の記録簿を装備
  • 通院精神療法、医療保護入院など精神保健福祉法の記載要件に対応
  • 電子カルテ・オーダリング・医療システムと連動することでより実務的なシステムとなっています。
  • 各部門間で閉鎖的になりがちな情報をスムーズに共有するためのサポートが可能

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MENTAT

 

 

MENTATは電子カルテのデータを解析し、現場や経営に役立つ情報を提供する精神科特化のデータ分析ソリューションです。これにより電子カルテに入力していくと提出書類の必要項目を自動で抽出する機能など新しいデータの活用が可能となります。

なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • 数値化しにくい症状や病歴などの膨大なデータを自動で分析しデータ化することでより良い医療の提供ができます。
  • 業界基準・法規制基準を満たしたIBM社のクラウドで安全なデータの管理を実現
  • 過去の治療状況を整理し見やすい表示にしました。
  • 患者や家族に説明するときに情報をわかりやすく提供するためのツールとなります。

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電子カルテシステムWeby

 

 

中小規模病院向けに特化した電子カルテシステム「IJI-HOSPITAL」の精神科病院版として開発されたシステムであるため、精神科特有の文章を簡単に作成・管理できるシステムなどの機能が充実しています。

なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • 政令指定都市ごと、年金診断書などの精神科特有の書類の作成をサポートします。
  • デイケアシステムを使用しリアルタイムに参加状況などが把握できます。
  • 投与量チェックや成分重複などの処方内容がチェックできます。
  • 再来受付機連動により受付業務の負担軽減が可能となります。

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HAL9クリニック

 

 

 

精神医療現場の医師とシステム開発スタッフが意見の交換を繰り返すことでできた精神医療に特化した電子カルテシステムがHAL9クリニックです。初期費用が0円なのでコスト面で導入がしやすくなります。

なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • 医師の思考に合わせた情報が順次目に入ってくることでカルテの入力時間を大幅に短縮
  • 日医標準会計ソフト「ORCA」と連携し受付・会計作業をスマート化
  • 5年毎の買換えや更新料金が不要でコストの削減につながります。
  • 各部署からの依頼や報告などを一体化することで効率化を図れます。

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ラポルテ

 

 

 

ラポルテは精神科病院などに最適な医療情報システムが入った医療情報ソリューションを目指したシステムです。また業務・規模・導入目的に合わせたカスタマイズすることで低価格で導入が可能になります。

なお製品の特徴としては以下が挙げられます。

  • 精神科に必要な長期にわたる診療データを「見える化」で診療経過を一目で把握できます。
  • 心理検査や生活指示など精神科に特化したオーダー発行機能を搭載
  • 当日のリハビリテーション実施予定の患者を一覧表示で管理ができ医師の負担が軽減できる。
  • 障がい児が受ける福祉や教育などのサービス全体をまとめる「個別支援計画」業務を支援

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まとめ

メンタルや脳を治療する精神科では、一般的な電子カルテと違う項目が多々あります。それをカバーする為の電子カルテシステムですが「入力しやすく・確認しやすい」ことが肝心です。精神科医やスタッフの声を聞きいれて現場で使いやすいように開発を重ねています。

導入費を公開している企業は少ないですが、1ヶ月無料、あるいは中小病院でも導入しやすい様にリーズナブルな価格で提供しているところばかりです。これらを参考にしてシステム導入すればヒューマンエラーなど、業務上のミスを大きく減らすことが出来ます。