電子カルテ導入のメリットとデメリットまた現在の普及状況は

カルテは患者の症状・所見や処方状態などを記した医療記録です。5年間の保存義務があり、ドイツ語から来ています。一昔前まではカルテといえば紙媒体を使っていましたが、近年の医療機関は電子カルテを使っているところが多いです。このカルテは従来の紙媒体ではなくデータの取り扱いになり、ペーパーレスを実現出来ます。1999年に厚生省が認可した事で始まりました。当初、医療機関は導入に消極的でしたが2005年に多くのメーカーが参入したことで普及が多くなりました。ここでは電子カルテのメリット・デメリットを公開しています。

電子カルテを導入するメリット

・物理的な保管スペースが不要になる
これまでのカルテは紙媒体なので、患者の数が多ければ多いほどカルテも増えていきます。カルテは使い終わったらすぐに処分する事は出来ず、5年間の保管義務があります。その為、物理的なスペース、且つセキュリティの問題が懸念されていました。

電子カルテはデータなのでスペースの必要が無く、紛失のリスクもありません。検索機能がついていたりソートできたりするので、膨大なカルテの中から探す必要もありません。

・読み間違いや記載ミス防止
医療の現場で最も怖いのがミスです。人命を扱っているからこそ何度もチェックしなければなりません。

電子カルテは紙媒体よりも文字が読みやすいので、これらのミスを防止する事にも役立ちます。CTやレントゲンなどの画像取り込みが出来るものもあるので、文字では伝わりにくい情報共有がしやすくなったのも大きなメリットです。

アレルギーや血液型など注意点をまとめて記載出来るので、ヒューマンエラーのリスクを下げ安心・安全な医療を提供する事に繋がります。

・診療業務の効率化
電子カルテを導入する事で、診療業務の効率化が期待出来ます。紹介状や診断書、初診時の問診表を事前にテンプレート作成していれば、いつでもすぐに呼び出せます。

患者にカルテを見せながら説明する事で、安心して通院が出来て途中挫折やモチベーション低下を防ぐ役割もあります。これらの事務作業を効率化する事で、患者とのコミュニケーションに時間を割く事も出来ます。

・情報共有に強い
医療機関ではカルテを各部門や他医療機関を共有する事もあります。従来の紙媒体の場合は、受け渡し用として別途カルテを作成していましたが、データでのやりとりになるのでその手間は不要です。

且つデータのコピーはすぐに出来るのでやりとりする時間も大幅に削減出来るのも電子カルテの特徴です。情報共有が容易になれば情報が集まりやすくなり、質の高い医療を提供出来るのもメリットの一つです。

・セキュリティ面に定評がある
どんなに良いサービスも紛失してしまったり、閲覧出来なくなったりしては意味がありません。電子カルテは閲覧するタブレットなどの端末を制限出来るので、情報漏えいのリスクを下げる働きもあります。

自動バックアップ機能がついているケースもあり、万が一データ削除や紛失した場合もすぐに復旧可能です。専用クラウドに保管していたり、データの暗号化サービスを提供していたりするのでハッキングの心配もありません。

電子カルテを導入するデメリット

・初期費用が発生する
これまでの紙媒体と違い、データのやり取りを行うので専用のシステムや閲覧する為の端末が必要です。継続して電子カルテを利用する場合はサーバー更新・維持費やメンテナンス料などのランニングコストも発生します。

これらのコストが発生するのがデメリットになり電子カルテの導入を懸念している医療機関もあります。固定費が増大するので、他の部分でコストを削減したり業務の見直しを行ったりする必要があります。

・一定のスキルが必要
紙媒体であれば医療知識以外のスキルは必要ありません。しかし電子カルテを利用する場合はシステム操作が必要になり、医療機関にいる医師・スタッフ全員が同じスキルを持っていなければなりません。その為事前に研修を開催する必要があり、膨大な時間を割く事になるのがデメリットに繋がります。

スキル習得が出来ない、あるいはシステム利用に拒否反応を持ち離職に繋がってしまうケースも考えられます。

・コミュニケーション不足の可能性
情報共有がスムーズになるのが電子カルテのメリットですが「カルテを見れば分かる」と依存してしまうのもデメリットになります。

「システムが全て」という考えは相手への確認漏れを引き起こし甚大なミスに繋がる場合もあります。医師・スタッフと患者だけでは無く、院内にいるスタッフとのコミュニケーションが不足すると患者が不安を感じるのもデメリットです。

・システム管理業務が増える
いくら良いシステムやプログラムも定期的なメンテナンスや管理をしなければなりません。電子カルテは登録、保存するだけではなくカテゴリ別に仕分けする必要があります。

その為には一定のスキルを持ち、管理に長けているスタッフの配置が必要です。元々その医療機関に在籍していれば良いですが、そうでない場合は新規採用が必要になりコストが発生します。

電子カルテの市場シェアと普及率

1999年に厚生省に認められ、徐々に普及していった電子カルテは今後どの様に発展していくのでしょうか。認可された当初は導入に消極的でしたが、2005年に高性能なシステムが誕生した事を皮切りに徐々に導入する医療機関が増えていきました。

そして2010年に医療分野でもクラウドコンピュータが解散され、セキュリティが向上した事で現在は約40%まで普及されています。日本は超高齢者社会になり、これまでよりも医療が多く求められる事が予想されます。その為、2020年には90%の医療機関が電子カルテを導入すると考えられています。

またコストダウンを測り、中・小規模医療機関でも導入しやすくなる様、大手メーカーだけではなくベンチャー企業が電子カルテに参入する動きが見られています。多くの企業が業界に参入すればコスト減だけでは無く、電子カルテの機能向上される事が分かっています。

より多くの医療機関が導入する為にIT導入補助金という制度もあります。この制度は中・小規模医療機関で発生する、ITツールの導入費を一部補助する制度です。電子カルテシステムはもちろんですが、レセプトコンピューターや病棟看護支援なども含まれるのでこれらを頼るのも良い方法です。

今後の課題としてはデメリットであるシステム担当者以外のスタッフの理解度、管理をするに当たっての人材確保、重度のシステム依存が起きない様にする為の研修の徹底が挙げられます。

まとめ

紙媒体ではなくデータだけになるので物理的な保管場所が不要になる電子カルテは、業務の効率化や他医療機関への情報共有が容易になり質の高い医療を提供する架け橋になります。読み間違いによるヒューマンエラーの防止、あるいはフォーマットのテンプレート化により事務業務を短縮出来ます。

但し導入コストが発生する点、システム管理をする人材確保の必要もあります。あまりにもシステム依存が強いと院全体のコミュニケーション不足も懸念されます。

2020年までには90%の医療機関が導入すると考えられているので、メリットだけでは無くデメリットまで確認した上で検討する必要があります。