クリニックの待ち時間対策方法

病院が苦手な理由の一つに「待ち時間が長い」が挙げられます。患者数が多いと仕方ないとは言え、出来るだけ早く診察したいと思うのは当然です。予約時間よりも余裕を持っていったとしてもある程度は待たされてしまうので、患者側で出来る事は限られてしまいます。反対にクリニック側出来る事は何でしょうか。患者のニーズに応えつつ、出来るだけ待ち時間を短縮出来るいくつかの方法を公開しています。待ち時間で悩んでいるクリニックに役立つ情報です。
患者の不満ランキング
毎日多くの患者を診療しているクリニックですが、クリニックならではの不満もある様です。統計によると通院の際に不満だと思うのはダントツで診察までの待ち時間です。その後、診察時間、医師との対話内容、治療方法やスタッフの対応など様々なものが挙げられます。クリニックでの不満ランキングというコンテンツがあるほど、深刻な問題になっています。
特に待ち時間に関しては患者の30%が少なからず感じていて、ケースによっては治療のモチベーション低下に発展します。しかし病院側としては「患者によって診療にかかる時間が読めない」「基本的にキャンセルの連絡が少ないので、予想していた時間よりも長くなってしまう可能性が高い」といった理由が挙げられます。しかしこれらは患者には全く関係のない理由なので、押し付けるのはナンセンスです。
待ち時間対策が重要な理由
なぜ待ち時間対策が必要なのか?患者に不要なストレスを与えないようにする、というのは当然ですがクリニック側としてもいくつかの理由があります。
医療機関の収入源は患者数に直結します。患者は待ち時間によるストレスを感じるとその医療機関へ通院しなくなり、患者数が減り運営出来なくなります。概算ですが1日に患者が5人増えると年収が500万円アップするというデータがあります。また質の良い医療体制を整える為には安定した利益が必要です。医療は収入や利益ではないというイメージがありますが、患者に満足してもらう為にも安定した利益が必要です。
病院などは待ち時間が長いとインフルエンザなどの流行病をもらってしまう危険性もあります。
待ち時間対策方法1:待っている体感時間を短く
いつまで待つか分からない状況は苦痛であり、とても退屈です。特に長時間クリニックで待っていると「忘れられてしまったのではないか?」と不安に感じるケースもあります。実際は長時間待っていないにも関わらず、体感で長く感じてしまうので患者にストレスを与えます。その体感時間に着目し、ストレスを減らす方法があります。
雑誌やテレビ、タブレット端末を設置してリラックス出来る空間作りをするのも良いです。お子さんが多いクリニックはキッズルームを設置したり、絵本を多めにしたりして下さい。体感時間が短いと長時間待ったとしてもストレスを抱える事はありません。
他にも院内の壁紙を寒色にすると時間の流れが短く感じやすいので、待合室を寒色で統一するのも一つの方法です。但し寒色は寒い・涼しいといった印象を与えるので、院内の温度管理に気を付けると良いです。
待ち時間対策方法2:患者数を偏らせない
通院する患者の年齢層や地域によって、クリニックが混みあう時間・そうでない時間があります。やみくもに予約を取るのではなく、状況に合わせる事で待ち時間が少なくなります。
平準化する為に患者のライフスタイルを分析し、それに見合った診療時間を設定する。あるいはサイトや掲示板で混雑状況を公開し、患者側に意識を持ってもらうのが有効です。時間予約システムを導入する事で、患者数を調整出来るのも大きなメリットです。
オンライン予約をしているところは、混雑状況をグラフで表示させるだけでもずいぶん違います。また高齢者は診察だけでは無く話し相手を求めているケースもあるので、事前にスタッフと話をさせるのも一つの方法です。
待ち時間対策方法3:順番を表示させたり声掛けを行う
1時間以上待っていると患者の50%は大きなストレスを感じます。同じ待つだけでも途中外出出来たり、ある程度の時間を把握出来たりすればこれらのストレスは一気に解消されます。
ポピュラーな方法として診察時間を表示し「いつまで続くのか分からない」点を解消します。電光掲示板、ポップどちらでもかまわないので見やすい位置に掲げておくと良いです。一時外出が出来るので、拘束されているとは感じず患者が自由に行動出来るのがメリットです。
続いてはスタッフが事前に声かけをする方法です。クリニック側からあえてアクションをする事で院内の雰囲気が良くなったり、クレーム防止効果もあったりします。
待ち時間対策方法4:スタッフが複数の職務をできるようにトレーニングしておく
誰か一人しか出来ない業務は、その人以外がカバーしにくく業務が止まる原因になります。反対に全ての業務をメンバー全員で出来る様にすれば効率良く業務を片付ける事が出来ます。クリニックは人命を預かる場所、且つ専門知識が必要になる場所なので、全ての業務を引継ぎするのは難しいです。
しかし、受付や会計といったスタッフが行う業務は、ある程度分担が可能です。患者数がピークに達する時間やタイミングのみで構わないので、他のスタッフがカバー出来る様にすると良いでしょう。この方法を実行するには日ごろから研修を行い、業務トレーニングが必要です。
研修をしている時は忙しいと感じるかも知れません。しかしこれは先行投資になります。業務効率が良くなるとスタッフのモチベーションが上がるだけでは無く、チームワーク向上にも繋がり一石二鳥です。
待ち時間対策方法5:自動再来受付機の導入
クリニックの患者比率は3割が初診、後は再診になります。7割の再診患者が自動再来受付機を使い受付をする事で受付業務を効率化する事が出来ます。
自動再来受付機というのは来院の際にタッチパネル方式になっている機械を使って行います。タブレットを使っているところもありますので、クリニックの広さや間取りで選択するのも良いです。高齢者の方や操作が分からない方の場合は、一時的にスタッフがヘルプに入る事も出来るので、不信感を与える事もありません。
性能や型式によって費用は異なりますが、メーカーによってはリーズナブルなタイプを提供しています。自動再来受付機が一般的になれば、待ち時間短縮に繋がります。
導入するにあたって、スタッフもその利用方法を理解していないといけないので、ある程度の研修が必要になる点、そしてメンテナンスなどのランニングコストが発生する点は注意して下さい。
まとめ
患者はもちろんですが、クリニックスタッフの業務削減にも繋がる待ち時間の短縮は様々な方法があります。一般的に1時間の待ち時間があると50%もの方がストレスを感じます。人はゴールが分からないと苛立ちを感じるので、掲示板や声掛けを行い待ち時間をある程度把握出来る様にする。
あるいはアメニティーを充実させて体感時間を短くする方法もあります。クリニック側で出来る事といえばスタッフが複数の業務をこなせる様に研修を導入したり、自動再来受付機を使い患者側で手続きを行ってもらったりする方法があります。