開業しやすい診療科目を解説!

勤務医として働くよさはあるものの、自分のクリニックを持つ開業医としての働き方にもまた違ったよさがありますよね。やりがいやライフスタイルを大切にする働き方はもちろん、いかにして儲けを出すかを戦略的に考えていくことができるのも開業医ならではの醍醐味。

開業しやすい診療科目から長期的に見る利益の出し方など、開業医として成功するために知っておきたい事柄について、いろいろと見ていきます。

開業医としての利益と診療科目の関連性

おそらく医師を志す段階で多くの方が漠然としたイメージを持っている開業医への道。世の中には開業しやすい診療科目や開業後もコンスタントに利益を出していきやすい診療科目が存在します。まずは、開業を前に知っておくべき、診療科別の諸事情などについて見ていきましょう。

 診療科別に見る開業医の利益

開業医として独立することは、キャリア的にも経済的にも自分自身へのメリットが多いもの。しかし、どの診療科も同じように稼げるわけではなく、稼ぎやすい診療科や稼ぎにくい診療科が存在すると言われています。

例えば、利益が出しやすいと言われているのは、小児科・眼科・整形外科など。一方で、利益を出しにくい診療科としては、外科・精神科・産婦人科などがあげられます。

しかし、開業しやすい診療科と稼ぎやすい診療科が必ずしも一致するわけではありません。

稼げる開業医を決めるのは診療科目だけではない

統計的に見て稼ぎやすい診療科とそうではない診療科があるものの、それがそのまま利益に影響することはなく、クリニックの規模・特化している診療内容・設備への投資・人材の確保なども、開業医の利益に大きくかかわってくる要素となります。

稼ぎにくいとされる診療科でも、計画的・戦略的に運営していくことで、確実な利益を生み出していくことは十分可能です。

しかし、稼ぎにくいとされる診療科は、設備投資費用や運営費用などがかさむ傾向にありますので、開業しやすい診療科かどうかの参考にすることができます。

きちんと理解しておくべき開業医を目指すメリット

現在は、いろいろな職種で働き方改革や生産性の向上などが叫ばれています。より自分らしく人生を送るために開業医という道を選ぶ方も多いかもしれませんが、開業医には、実にさまざまなメリットがあるので、さっそく見ていきましょう。

開業医になることで得られる数々のメリット

開業医になることで得られるのは、医師として独立というステップを踏むキャリア構築のメリット。また、自分の信条に則って医療に携わることができるメリットがあげられます。

勤務医では実現しにくい患者一人ひとりへの細かな医療ケア、医療環境が整っていない地域への社会貢献など、医師としての志にかかわるメリットが多くあります。

さらに、開業医の場合は、自分の手腕や努力が経済的な利益につながることも大きなメリットです。また、自分のクリニックを経営するというビジネスの楽しみが味わえるところもメリットと言えるかもしれません。

開業医を目指すということ

自分の頑張りや努力がそのまま利益につながる旨味があり、いろいろな面での魅力が多い開業医。

けれども、開業医には、勤務医以上に医師としての手腕が求められます。ビジネスセンスや人とのコミュニケーションスキルなど、医師の技術ではない部分について求められることを肝に銘じておきましょう。

また、こういった部分は、自分の専門とする科目が開業しやすい診療科かどうかにかかわらず、とても大切なものになります。

開業医にはビジネスセンスが必要?

開業医としての心得や準備しておきたいことについては、開業しやすい診療科かどうかで大きな違いはありません。ここでは、そもそも開業医にはビジネススキルやセンスが必要なのか?について解説していきたいと思います。

開業医への向き・不向き

おそらく、これまでに多くの医師の方が自分のキャリアの中で、勤務医としての道を選ぶか、それとも、開業医としての道を選ぶのかについて、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

まず、知っておきたいのは、開業医への向き・不向き。一般的には、計画的に物事を進めることが得意な方、向上心や競争心のある方、感情的にならず冷静に物事を判断できる方などが開業医に向いているとされます。

そして、逆に不向きとなるのは、人とのコミュニケーションが著しく苦手な方、感情論で動きがちな方など。

しかし、自分は開業医として不向きかもしれないという方の場合も、開業コンサルタントにお世話になったり、雇われ院長などを経験したりという方法で、ノウハウを取得してから開業医を目指すという方法もあります。

廃業するクリニックが増加傾向にあり開業医へのチャンスが増えているとされる今だからこそ、積極的に開業することについて検討してみるのもよいかもしれません。

開業医が備えておきたい資質や心得とは

開業医が勤務医と大きく変わる点は、やはり、設備投資や人事労務などの経営全般への責任と負担が増える点。

開業医でも、共同経営を選ぶ場合は、ビジネスパートナーとなる医師とのその役割を分担することとなりますが、自分が主となって開業する場合は、最低限の経営スキルや知識を身につけておくと安心です。

一方で、責任や理想があるからと、何でも自分の思うとおりにこなそうとするのは、現代においてはリスクが高いこと。

専門性のある事柄には手腕に長けた人材を迎え入れる、コンサルタント・会計事務所・システム設計などの外部のサービスを活用するなど、質の高い医療サービスを提供しながら、開業医として利益を得るために最適な方法を模索していくのが得策です。

また、開業医には、まわりのクリニックとの差別化を図るマーケティング力や集客力、真摯に医療に向き合う姿勢などを養っていくということも課題のひとつ。経営理念を明確にし、人として医師としての成長を心がけましょう。

開業医として儲けるためにおさえておきたいポイント

法人や個人に限らず、勤務医の1.5〜2倍程度の収入があると言われる開業医。専門とする診療科が開業しやすい診療科かどうかによって、実際の経営方法などは若干変わってきますが、根本となるものは同じになります。開業医としてきちんと儲けていくために準備しておくべきことなどを見ていきましょう。

開業医が利益を出すために事前に準備しておきたいこと

開業医として利益を出し続けるには、しっかりとした枠組みに基づいて、開業準備にじっくりと取り組むことが鍵となります。

儲けを意識した場合に開業への道のりの初段階でとくに意識したいのは、クリニックのコンセプトや経営方針です。診療所の立地条件や内装・設備を決める際にも、クリニックのコンセプトによって立地・内装・設備などは大きく異なってきます。不動産先行ではなく、コンセプトや経営方針から固めていく開業を心がけましょう。

また、競合クリニックが同じ地域にある場合などは、とくに、地域の医療ニーズに合ったクリニックの開設を意識することも大切になります。

そのほか、開業に適したタイミングを図ることも重要な要素のひとつ。自分のライフステージとの兼ね合いを見ながら、社会の医療サービスへの考え方なども考慮していくと安心です。

 開業後の将来へのビジョンを持つ

実際問題、その気と医師免許さえあれば誰にでもなれる開業医。しかし、中長期的にコンスタントに利益を出し続ける開業医を目指すには、開業後のビジョンを持つのが、何よりも大切なことと言えます。

例えば「丁寧な診療」がコンセプトのクリニックと「最新設備を使った医療」がコンセプトのクリニックでは、いくら開業しやすい診療科でも、開業後の運営体制が大きく異なってきます。

また、インターネットの高速な普及にもかかわらずに、質の高い公式Webサイトやオンライン予約システムの導入を頑なにして取り入れないクリニックなどは、マーケティングの根本を理解しておらず、社会のニーズの読み取り力に問題のあるクリニックであることが明らか。

現代の開業医に必要なのは、専門的な医学知識を持ちながらも、理想と現実のバランス感を把握できていて、現在と未来を見据えることのできる医療の専門家としてのビジョンです。

一般に開業しやすい診療科と言われていても、このビジョンがないと成功がむずかしくなりかねません。

まとめ

儲かりやすい診療科には、地域のニーズに合った親しみやすさがあるクリニックや専門性が高いクリニックなどの明確な特徴があることがほとんどです。

ぜひ、ご紹介したポイントなどを参考に、開業しやすい診療科はもちろんそのほかの診療科でも、しっかりとしたコンセプトとビジョンを持った、手堅い開業を目指していただければと思います。